雨はあなたの涙となって

私が社会人になった姿を見る寸前で
あの世へ旅立った祖母
初めての給料明細を持って
祖母が眠るお墓へ向かった
向かっている途中で急に雨が降ってきた
お墓にたどり着き
傘をさしながら給料明細をお墓に向けた
一向に降りやまない雨
千の風じゃないけれど
祖母はこのお墓に眠っているのではなく
時には雨のようなうれし涙を流しながら
あの空で私を見守ってくれているのかもしれない

私が三十路になる姿を見る寸前で
あの世へ旅立った父
あなたの最後を看取ろうと
殺伐とした心で病院へ向かった
雨で川のような道路を必死で運転した
病院にたどり着き
冷たくなっていた父に「お疲れ様」と言った
あれだけの雨が急に止み
真っ赤な太陽が照らし始めた
父は今あの世とこの世の二重生活を始めたのだ
この世と別れる悔し涙を雨のように流した後
あの世で明るい太陽で私にエールを送っているのだ

雨はあなたの涙となって
この世とあの世をつなげている
雨はあなたの涙となって
この雨はあなたのぬくもりの雨

(2022年)